できることは、後手に回らず、先手、先手で!
昨年のコラムで、入居者さんの突然死に直面したというお話をさせていただきました。
■上記のコラムはこちら⇒ https://www.superfp.com/blog/?p=6268
たまたま、生活保護を受けておられた方で、同居の未婚の妻(?)Aさんがおられるため、特例的にその方の転居先が見つかるまでの期間、家賃を継続して保証してくれる、ということになっていました。
そして、ちょうど5ヶ月が経ったつい先日、市役所から連絡があり、「Aさんの退去が完了したので、カギを返送しました。これをもって、生活保護費の入金を打ち切らせていただきますね。Aさんは施設に入られた、ということもあり、特に立ち合いなしで完了させています。」とのことでした。
退去の立ち合いなしで、確認もなしに鍵を送りつけてくるなんて、非常識だなと思いつつ、まずはカギが返却されてきたことで一安心。
打合せを兼ねて、リフォーム業者さんと現地確認に行ってきました。
ところが、さっそく事件勃発。
玄関ドアを開けると、目の前に水槽が置いてあり、その中に巨大なカメが動いています。
驚きを隠せず、玄関から中へ入ると、今度は猫ちゃんが二匹、飛びかかってきました。
この時点で、思考フリーズ。
何が起こっているか分からず、パニックです。
でも、これはやるしかないと思い、目の前の引き戸を開けると、何と、見知らぬ男性が立っているではないですか・・・。
思わず、「うぉ~。」と叫びながら、後ろに飛びのいてしまいました。
恐怖以外の何物でもありません。
とはいえ、逃げるわけにもいきませんので、ヒアリングしてみると、
- 自称、Aさんの息子。(でも、他界されたもともとの契約者とも、Aさんとも苗字が違う・・・。)
- 半年前ぐらいから、ここに住んでいる。
- ペットは前から契約者が無断で飼っていたらしい。
- 定職にはついておらず、まとまった預金もない。
- ただ、行くところがないので、このまま住み続けたい。
- 家賃も払う意思はある。
という感じです。
残置物の量も半端なくあり、また、もともと契約者が15年以上住み続けていたお部屋なので、見たところ、物件の損傷具合も超ド級な感じでした。
また、リノベーションしてきていた古い2DKなので、ユニットバス交換なども必要な案件で、退去してもらうにもかなりの時間とその後の労力もかかるとその場で計算しました。
そして、直近のこのコロナの状況です。
退去してもらうにも、この男性、ここでの生活の場を奪ってしまうと、即座に路頭に迷うことになります。
そのため、まずは市役所の生活保護課に相談に行くように勧めました。
あわせて、「住居確保給付金」や、地域の「社会福祉協議会」などの紹介を行い、利用できるものは利用するように伝えました。
ただ、例えばこの住居確保給付金、以前、支給申請を手伝ったことがありますが、なかなかややこしいのです。
要件に、
「申請時に以下の(1)~(8)のいずれにも該当する方が対象となります。
(1)離職等により経済的に困窮し、住居喪失者又は住居喪失のおそれがある。
(2)申請日において、65歳未満であって、かつ、離職等の日から2年以内である。
(3)離職前に、主たる生計維持者である(離職前には生計維持者ではなかったが、その後離婚等により、申請時には生計維持者となっている場合も含みます)。
(4)申請日の属する月に、申請者及び申請者と同一の世帯に属する者の収入の合計額が、次の表の『収入基準額』 以下である(収入には、公的給付を含みます)。
(5)申請日において、申請者及び申請者と生活を一にしている同居親族の預貯金及び現金の合計額が、次の表の『金融資産額』以下である。
(6)ハローワークに求職の申込みをし、誠実かつ熱心に常用就職を目指した求職活動を行うこと。
(7)国の雇用施策による貸付(職業訓練受講給付金)及び地方自治体等が実施する類似の給付等を、申請者及び申請者と同一の世帯に属する者が受けていないこと。
(8)申請者及び申請者と同一の世帯に属する者のいずれもが暴力団員ではないこと。」
(上記は、市川市ホームページより転載)
といったものがあり、概要を印刷したものを居住者に手渡すだけでは進まないことが往々にしてあります。
手続き自体は大したことがなくても、上記などが記載されている書面を見た瞬間、受け取った側は、「面倒くせー。」と感じて、行動してくれないことが多いのですね。
なので、どこまでフォローするかによるのですが、
- これはあなたのためを思って案内していること。
- 何も行動しないと、ここを出ていかないといけなくなること。
- フォローし、応援する気持ちがあること。
などを伝える必要があるかと思います。
あと、地域の社会福祉協議会、というのは、私も福祉事業を始めてからその存在を知ったのですが、いわば、地域の何でも相談所のようなところ。
地域によく、町会の会館などありますよね。
先日も、市川市のとある町会の会長さんに挨拶に伺ったのですが、そちらが地域の社会福祉協議会も兼ねていて、生活困窮者の支援もしている、ということでした。
現金給付の紹介やあっせんをしたりもしていて、こういうコロナの状況もあるので、遠慮せず相談に来てほしいのだが、町会に所属していないと、我々の存在は知られないかもしれない、とのことでした。
ですので、私たちができることは、物件所在地にどのような地域の応援施設があるのかを調べて、それを入居者に通知しておいてあげることだと思いました。
アパートについては、町会費は大家さんが入居者の代わりに支払う、というのが多いですが、「このアパートは町会にも所属していますので、安心して相談されてください!」ということも伝えられますしね。
また、アパートのある地域の町会が分からない、ということであれば、この機会に調べておくと良いと思います。
コロナの影響で、われわれ不動産投資家・大家にも、居住者の生活苦、ということで、間接的に影響が出始めています。
今のうちに、できることは先手を打っていきましょう!
まとめ:
居住者のメリットになる情報をアナウンスして、経営が不利にならないよう工夫しよう!
今回は、住居確保給付金や社会福祉協議会の利用についてお伝えしました。
何かの参考にしていただければ幸いです。
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