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とにかく生き抜くこと。 セーフティネット機能は躊躇なく使うこと。

2020.04.23

前々回のコラムで、退去のあった部屋に入ったら、見知らぬ男性がいたというお話をさせていただきましたが、今回はその後日談です。

■前々回のコラムはこちら⇒ https://www.superfp.com/blog/?p=6694

結局、その男性は、元々の居住者の未婚の妻の子供でした。

派遣会社に登録はしているようでしたが、定期的な収入はなく、家賃を継続して支払うことは不可能に思えました。

ですので、生活確保給付金や社会福祉協議会、また、生活保護課などを紹介していたのでした。

つい先日、生活保護課から「保護が決定したので、とりあえず手続きを進めます。」という連絡があり、ほっと一安心していました。

ところがその数日後、また生活保護課より連絡があり、「谷本さんすいません、私のミスでやっぱり谷本さんの部屋に、Aさんは住んでいただくことはできなくなりました。ごめんなさい、すぐに退去してもらうように言いますので。」とのこと。

どういうことか聞いてみると、まあ当たり前のことだったのですが、家賃>一人暮らしの所定の住宅扶助額となっていたためでした。

お部屋の家賃設定は55,000円だったのですが、この市町村では46,000円が上限のため、9,000円の差額が生じるからここには住んでいただけない、とのこと。

それで、念のため「その差額9,000円は自己負担で支払っていただく、ということはできないのでしょうか?」と聞いたところ、それはNGとのことでした。

しかし、私はすぐに「了解です。それでは、家賃は55,000円ではなく46,000円でいいので、住んでもらってください。」と回答しました。

それを受け、生活保護課の担当ワーカーさんは一瞬、かなり驚かれていたので、

「実はあれからAさんと話して、身分証明書などを送ってもらったんですね。そうしたら、Aさん、療育手帳の写しを送ってこられ、知的障害を抱えていることが分かりました。私、実は福祉事業も営んでいるのですが、そうした知的障害や精神障害を抱えている方のサポートをしています。ですので、Aさんにもできる限りのサポートをしたいと思いました。なので、この家賃で十分です。」

と伝えたところ、納得された様子です。

この話だけすると、単なる善人のように思われてしまうかもしれませんが、もちろん単なるボランティア精神だけで今回の提案をしたわけではありません。

  • 居室に踏み入ったときに、そのダメージの大きさから、リフォームするには相当の出費を覚悟したこと。

  • もともとリノベーションしないと客付けが難しいと思っていたが、その必要がなければ、手元キャッシュを出さずに済むこと。

  • リノベーション期間や特に今のコロナの状況では、新たな入居募集期間を考えると、機会損失が半端なく発生してしまうこと。

などを考え、今回の提案を行ったのでした。

生活保護課の担当ワーカーさんは、私の提案を受け、

「そのような申し出をいただき、感激しています。非常に助かります。私も、今の状況でAさんに退去してもらい、別の住居を探すのは非常に困難だと思っていました。Aさんも、できれば谷本さんのお部屋に住み続けたいとおっしゃっていますので、本当に助かりました。」

とのことでした。

これでAさんの案件はいったん完了できそうです。

しかしこの時期、生活保護や住居確保給付金についてのフォローは、絶対に必要だと思います。

実はもう一人、住居確保給付金関係のフォローをしている居住者さんがいます。

地味な仕事ですが、社会にとっても、また自身の賃貸経営にとっても必要なことなので、引き続きフォロー頑張ります!

まとめ:
セーフティネットの機能、こんなときだからこそ、使えるものは躊躇なく使うのが大切。

今回は、入居者さんの生活保護の手続きフォローについてお伝えしました。

何かの参考にしていただければ幸いです。