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「杭データ改ざん問題」は戸建賃貸で生じるか!?

2015.11.30

こんにちは。FPコミュニケーションズの岡です。

今回の「稼ぐ戸建賃貸」レポートは、最近日本を震撼させている「杭データ改ざん問題」が戸建賃貸で生じるか?について、見解をお話しします。

ニュースや新聞紙面にも頻繁に取り上げられている「杭データ改ざん問題」。

当初は、「旭化成建材」のある担当者だけのような報道でしたが、その後、その担当者だけでなく、他の担当者も同様のデータ流用があったと報道がありました。

更に直近では、「旭化成建材」よりも業界大手である「ジャパンパイル」でもデータ改ざんが発覚し、この騒動における流用件数は報道される度に増えている状況です。

その数は、直近のニュースで新たに判明した会社を入れると計7社となり、事態は混迷を極めています。

そもそも今回問題となっているのは「既成コンクリート杭工事」と呼ばれるもので、掘削機で地面を掘り、既製品のコンクリート杭を打つというものです。

建物を支えるには、杭は「支持層」と呼ばれる強固な地盤まで到達させなければなりません。

そして、杭が支持層に到達したかを示すのが電流計のデータです。

古い杭打ち機の電流計はその場で紙のデータが出力されるのですが、屋外の作業のため、雨に濡れたり、風で飛ばされて紛失したりすることがあるそうです。

また、そもそもスイッチを入れ忘れたり、紙を補充するのを忘れることもあるといいます。

今回のデータ流用は、上記のような理由でデータが取れなかったため、別の杭の電流計データを使って、あたかもデータが取れたかのように見せかけたということですが、本当にそれが理由なのでしょうか?

以前、私がゼネコンの現場監督をしていたとき、杭工事を担当しておりました。

その際、必ずデータで支持層の確認をしていたのですが、掘削機を操縦するオペレーターからは、支持層に到達すると振動や音でデータを見なくても分かると言われました。

そしてそのオペレーターに、支持層への到達前後の振動と音を比較させてもらったのですが、その違いは、あれから20年以上経った今でも思い出せるほどです。

そのときは深度35m以下に支持層がある状況でしたが、そばで見ているだけでも違いが分かりました。

ですので、今回問題となっている現場においても、少なくとも掘削機を操縦していたオペレーターは、支持層に届いていないのは間違いなく分かったはずです。

それにも関わらずデータ流用していた理由が、雨に濡れたからや取り忘れたからというのでは、現場を知る人間からすればおかしいと感じます。

原因の根本は、当初の計画通りに工期や予算を納める為としか思えません。

それは建築業界の多重下請構造も一つの要因かもしれませんが、一番は建築に携わる人の【モラル】の問題だと思います。

話の前段が長くなってしまいましたが、当社が主に企画している「戸建賃貸」の場合はどうでしょうか?

実は地盤調査の結果、地盤補強工事が必要になるケースは多いです。

表層改良や柱状改良、状況によっては鋼管杭の場合もあります。

計画する建物は2階建てや3階建ての場合が多いのですが、支持層まで深すぎる場合は摩擦杭で対応するケースもあります。

いずれにしても調査企画段階で、地盤が悪いかもしれないということを周辺データ等で事前に確認し、工期や予算を概算で計上して、リスクを見込んだ事業を提案しております。

金融機関の審査依頼段階で、地盤補強費も想定で計上することは、この事業におけるリスクヘッジとなっている為、ほとんどの金融機関では認めてくれています。

いざ解体が終わって、地盤調査をする段階で補強工事が必要とわかっても、リスクを見込んでいるので工期も予算も想定内になんとか納まるケースが多いです。

それが「データ流用」が起きない理由かもしれません。

また建設業界の多重構造についても、当社がお願いしている工務店から施工している地盤補強会社までは孫請け以下にならないので、それも大きいのではないでしょうか。

今回の事件の終着点がどこになるかは現在の状況から判断できませんが、これを契機に、建築業界自体が正しい方向となり、消費者となる入居者が安心して居住できる環境となることを、建築に携わる者として強く望みます。

今回の稼ぐ戸建賃貸レポートが、あなたのお役に立てば幸いです。

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それでは、次回の稼ぐ戸建賃貸レポートをお楽しみに!

◆岡 宏◆