家賃滞納にはしつこく、厳しく、立ち向かう
2020.11.19
「家賃をお支払いにならず、連絡もしないのは、無銭飲食と同じです。黙って食い逃げしてるのと、同じなんですよ!」
久しぶりに声を荒げてしまいました。
家賃を滞納していて、連絡のつかなかった方と、ようやく電話がつながったのです。
この方は、保証会社さんが入っていない賃貸借契約のため、家賃が未納の場合には、私自身が支払い督促をする必要があります。
私がこのアパートを購入する前から長年住んでいた方が他界され、その息子さんが引き続き居住する、となっていた賃貸借契約です。
自分が購入する以前から入居されている賃借人さんの契約って、なかなか神経使いますよね。
だって、どんな審査で入居されたのか分からないですものね。
さて、この息子さん(以下、Aさんと呼びます)、
- 障害年金
- 生活保護
を受けておられます。
障害年金は、2ヶ月に一度、約15万円ほど受給されています。
生活保護費は、月に2~3万円程度の受給。
なので、月収約10万円の収入、といった感じでしょうか。
よく、「生活保護だったら、確実に保護費の入金があるから、家賃滞納にならない優良入居者。」というような風潮が不動産業界にはありますが、単に生活保護を受けているから滞納にはならない、というのは違います。
おそらく、滞納にならないケースというのは、
- 他の収入(年金含む)がない。
- 市から家賃相当分の代理受領手続きがされている。
といったものです。
年金収入や給与収入などが発生すると、例え生活保護を受けていたとしても、減額されます。
もしくは、過去にさかのぼって、すでに受給した生活保護費を返納しないといけないケースもあります。
この返納のケースにはこれまで何度も遭遇したことがありますが、笑うに笑えない話です。
というのも、すでにお金を使ってしまっていて、返納しようがない、というのがほとんどだからです。
この場合、分割払いなどで市に返済していくようになります。
もう一つの代理受領ですが、これは、本来、ご本人が受け取るべき保護費のうち住宅家賃に相当する金額を、家主や管理会社が受け取る、というものです。
これは、市役所に備え付けのフォーマットがあり、本人の同意をもとに手続きすることが可能です。
この収入条件と代理受領手続きがクリアされているものについては、まず滞納は起こり得ません。
でも、どちらかが欠けていると、滞納は発生する可能性があります。
例え代理受領手続きがされていても、他の収入が発生したために保護費が減額、もしくは打ち切られることがあります。
また、代理受領手続きがされていなければ、生活保護費は本人の口座に入金されてしまうので、家賃を払う、払わないは本人の意思に委ねられてしまいます。
なので、一概に、「生活保護だったら、家賃滞納はないから安心。」ということは言えないので、この点だけは注意したいところです。
このような、生活保護の仕組みや市役所での手続きを把握しておくと、入退去にあたって有利もしくはスムーズに事を運べる場合があります。
さて、このAさんですが、
- たまたま日雇いの仕事で収入が多く発生した。
- 市役所の調査でそれが判明した。
- 手元にお金が増えたことで、無駄遣いしてしまった。
- 市役所から、保護費の返納を通達された。
というのが諸々重なってしまった、とのことでした。
でも、いい機会と思い、冒頭のように「家賃を支払うのは大切なこと」ということをお伝えした次第です。
家賃の支払いは、入居者さんの中での優先順位がどうしても低くなります。
というのも、最悪家賃を支払わなくても、また、支払いが遅れても死ぬことがないためです。
死ぬ死なない、というのは言い過ぎかもしれませんが、
- 少しぐらい支払いが遅れたって、追い出されたりはしない。
- むしろ、そんなことで出て行けという家主は非人道的だ。
- 経済情勢が悪くて収入が減ったのだから、家賃も支払わなくてもいいはずだ。
みたいに考えられがちです。
でも、私たちも、何も慈善事業で不動産投資をしているわけではありません。
ローン支払いもあります。
建物維持のために各種修繕も必要になります。
日々の糧を得るためにも、家賃を滞納されては私たちも困ります。
なので、家賃滞納は悪、それは、無銭飲食と同じ犯罪なんですよ、ということを滞納される方には繰り返し伝えるようにしています。
今回のAさんにも、「どんなに仕事がなくても、生活保護費を削られても、それでも歯を食いしばって家賃は支払わないとダメです。そのためにできることを、一緒に考えましょう。」とお伝えして電話を終えました。
市役所も鬼ではありません。
今回の返納が一気にできないのであれば、相談すれば分割払いにも応じてくれます。
不動産投資では、物件をいかに安く買うか、また、いかにローンをつけるか、といったことがもちろん大切になります。
でも、このようなドロドロした運営面もある、ということを理解して、投資しなければなりません。
まとめ:
家賃滞納は悪。滞納者には厳しく、また大切なことなので何度でも伝える。しかしながら、一緒に解決していくスタンスで接しよう!
今回は、入居者の家賃滞納と支払い督促についてお伝えしました。
何かの参考にしていただければ幸いです。
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